図書室から遠ざかっていく朝美先生の背中を、じっと見つめる。
そして見えなくなってから、やっと図書室のドアを閉めた。
カーテンの隙間から入ってくる光。
何年も前の古びた本と、まだ新しい本。
落ち着く紙の匂い。
わたしは、この時間が好き。
この学校の図書室が好き。
なにげない日々の中の、ふとした瞬間にそう思う。
席に戻って、机の上にある5巻を手に取った。
「……はやく続きが読みたい」
なんとなく表紙を指でグルグルとなぞる。
6巻から全部かりていった男の子って、どんな人なんだろう。
目を輝かせて読んでるのかな。
それとも、真顔で読んでるけど…心の中では喜怒哀楽してるとか…?
どちらかと言えば、私は後者だ。
どんな人なんだろう。
少し興味が湧いたけど、すぐに考えるのをやめた。
考えたって、意味ない、意味ない。
返ってくるまで、違う本でも読んでいよう。
いつ返ってくるか分からないけど、それまで静かに待っていよう。
漫画が置いてある本棚に5巻を戻して、すぐにそこから離れた。
小説コーナーで本を選びながら思う。
小説を読むのは久しぶりだ。



