気になるシーンを何度も見返していると、パラパラめくっていた勢いで本が閉じてしまった。
パタリと寂しい音をたてて閉じたあと視界に入ってきたのは、きれいな表紙だった。
5巻でもやっぱり海砂ちゃんは、なにかの花を持っている。
…いつも違う花を持ってるんだよなぁ
読むことに夢中になって、あまり気にしてこなかったけど、なにか理由があるのかな。
作者の人が花が好き…とか
それともこの話と、なにか関係のある花…?
_「優ちゃん、優ちゃん」
ここにいるはずのない朝美先生の声がして、慌てて声がした方へ振り向いた。
いつの間にいたんだろうか。
朝美先生は図書室のドアの前で、小さく私の名前を呼んでいた。
きっとなにか伝えたいことがあって戻ってきたんだろう。
わたしは小走りで駆け寄って、「ん?」と耳を傾けた。
「先生ね、職員室で仕事するから、たぶんもう図書室には戻らないと思う。だから…」
慌てた様子の先生に、少しでもはやく安心してほしくて、「わたし閉めとくよ」と明るい声で言った。
すると先生は、ほっとしたように微笑んだ。
「ほんと?ありがとう」
「暗くならないうちに帰ってよ〜?」
あいかわらず心配性な先生が面白くて、ふっと笑みが溢れる。
「わかってる、先生またね」
「は~い、またね」



