たくさん笑った後は、ふたりとも静かに本を読み始めた。
ほんとうに先生も一緒に読書するんだって思ったら、嬉しくてくすぐったい。
それぞれ違う本を読んでいるから会話はないけれど、それでも嬉しかった。
誰かと一緒に好きなものに夢中になるって、こんな気持ちなんだ。
「なんか懐かしいなぁ」
いきなり先生が言葉を発したから驚いた。
先生と一緒に読書するのが嬉しくて、チラチラ見てたことが、ばれたのかと思った。
でも違ったみたい。
先生の視線は本に向けられたままだった。
「なにが?」
本にしおりをはさんでから、そう問いかけた。
なにか懐かしいと感じさせるシーンがあったんだろうか。
朝美先生は少しだけ口角を上げて言った。
「…甘ずっぱい恋愛」
その響きにあまりピンとこない私は、「ふ~ん」と適当な返事を返す。
「昔はよく読んでたなぁ〜って、思い出しちゃった」
「…今は?」
「んー…」
「仕事がいっぱいで恋愛とかぶっ飛んでる」
なぜかドヤ顔で言った先生が面白くて、自然と頬が緩む。
「ふはは、先生まだ若いのに」
「まぁ…そうね〜…結婚とかしたいもん~」
…けっこん…
またまたピンとこない響き。
恋愛に疎い私は、そういう話はあまり知らないし得意ではない。
「…そうなんだ」
「ねっ、優ちゃんは、どんな人がタイプ?」
「え…」
…どんな人が…タイプ…?



