「………え?」
びっくりして、じっと先生を見つめることしかできない。
私の瞳の奥を見透かすように、じっと真剣な眼差しを向ける先生は、小さく息を吸った。
「優ちゃんにも、
いいところいっぱいあるのに」
そう言って私の頬をぷにっと指でつつく先生は、もういつも通りの優しい笑顔だった。
なぜか、鼻の奥がツンとした。
嬉しくて泣いてしまいそうだ。
それでも素直に受け止められずに、まだ自分を認められない。
「……私なんか、いいところなんてないよ」
「先生みたいに優しくないし」
晴日くんみたいに、
うまく人を笑顔にできない。
「…だれも、私なんか好きじゃない」
最後の言葉は、自分で言ったくせにトドメだったと思う。
「……優ちゃん」
朝美先生が優しい声で私の名前を呼ぶ。
それでも顔を向ける勇気は、私にはなかった。
「……優ちゃんこっちむいて」
まるで意地を張った小さな子供のように、私は朝美先生の方へ顔を向けなかった。
「優ちゃんは優しいよ」
こんな私に、朝美先生はそんな言葉をかけてくれる。
優しいのは、先生のような人なのに。
「先生ね、優ちゃんに何回笑顔にしてもらったか分からない」
「優ちゃんのいいところ、いっぱい知ってるんだから」
涙が溢れないように、きゅっと下唇をかんだ。
私なんかって気持ちは変わらない。
でも先生の言葉が、心に優しく滲んで、ほんの少しだけ、自分の存在を認めることができた。
私はここにいて、いいんだ。
「……ありがとぅ」
「先生………ごめんね。」



