言われてみれば、お年頃の男子高校生が少女漫画を借りるって、勇気が必要だったんじゃないだろうか。
もしかしたら、友達に女々しいなんてバカにされてしまうかもしれない。
そういう不安が、少しはあったんじゃないだろうか。
私は、誰が何を読んだって気にしないけど、世の中には、好きなものをバカにしてくる人はいくらでもいるから。
「…うん、可愛いね」
それに…、
「私なら人の目を気にして持っていけない。でもその人は私と違って、自分に正直な人で、可愛い人」
あたりまえのように、自分に正直でいられることの強さが、素敵だと思った。
「……ん?優ちゃんも可愛いよ?」
無意識に俯いてしまっていたらしい。
朝美先生の明るい声を聞いて、
はっと顔をあげた。
先生の声はいつだって真っ直ぐで、優しくて、なんの濁りもない。
それが伝わってくるからこそ、心があたたかくなった。
「先生ありがとう」
「でも私なんか、可愛くないよ」
先生に心配をかけたくなくて、ふっと笑って見せる。
「優ちゃんはさ、どうしていつも私なんかって言うの?」
私が笑うと、先生はいつも優しく笑い返してくれる。
けれど今はちっとも笑ってなんかいなかった。



