このお見合い、謹んでお断り申し上げます~旦那様はエリート御曹司~


薄い反応に、私はキリッ!と彼を見つめる。


「“カレー”を侮ってはいけませんよ。一皿で肉も野菜もとれるうえに、子どもから大人まで好まれる最強メニューですから。作りすぎても、ちゃんと保存すれば翌日以降も食べられますし。」

「ほぉ…」

「それに、味が事故を起こすことがありません。初めての料理には持ってこいです。」


納得したように食材を見つめる彼。

ここからが本番だ。

コンビニ食よりも美味しいものを作って、不健康な榛名さんに“手料理”の素晴らしさを実感してもらわなければ。


「じゃあ、早速はじめましょう!私はお肉を担当するので、榛名さんは野菜をお願いします。」

「分かった。」


こうして始まった“料理教室”。手際よく作業を進める私の横で、彼は黙々と人参と格闘している。

カレーは、小学生のキャンプや調理実習でも扱われるメニューだ。そんなに高度な技術も必要としないし、きっと何事もなく終われる。

ーーと。そう思っていた私だったが、現実はそう甘くはなかった。


「百合。そういえば、これはどこまでが皮なんだ?剥いてもむいてもオレンジだぞ。」

「?!ストップストップ!もう平気です!あとは包丁で一口大に切ってください。手は猫の手で…」

「猫?無理を言うな。人間は五本指だ。」

「物の例えです…っ!よく言うじゃないですか。指を切らないようにって。」

「ふぅん?」