ぴしゃり、と言い放たれたセリフ。

見たこともないおばあちゃんの険しい表情に、胸が打たれた。

ーー信じてくれた。怒ってくれた。

真人なんかに、私たちの家族の絆が切られてたまるか。


「…っ!このババア…!下手に出てれば調子に乗りやがって!」


カッ!と目の色を変えた真人。思い切り拳を振り上げるその光景に息が止まった瞬間、血相を変えた律さんがすかさず駆け出した。


ーーガッ!!


振り下ろされた拳をすんでのところで手で受け止めた律さん。割り込んできた第三者に、真人とその手下達の表情が変わる。


「おやおや…!誰かと思えばハルナホールディングスのお坊ちゃんじゃないですか…!大切な彼女のピンチに駆けつけたと?素晴らしい愛ですね…!」


ギリギリと拮抗する拳。挑発するような真人の言葉に、律さんは顔を歪めた。真人は側にいる私にも気がついたようだ。律さんの背に隠れ、おばあちゃんを庇うように立った私に真人の低い声が飛ぶ。


「へぇ…!逃げてきたのか、運がいい女だ。…まぁ、ここで御曹司の旦那ごと手にかければ問題ないがな…!」

(!)