私は、それしか言えなかった。そんな精一杯の私を分かっているように、彼は私を抱きしめ続ける。すっぽりと包まれる体。シャツ越しに感じる体温も、鼓動も、香りも、全部私の理性をかき乱した。
「ーー好きだ、百合。愛してる。」
「!」
「ずっと、お前が欲しかった。」
耳元で聞こえる彼の声も、いつもより余裕がない。溢れ出た想いに、もう抗えはしない。
「…好きです。…私も、律さんが好き…」
口に出すと、わっ!と想いが溢れた。もう、後戻りはできない。
その時、すっ、とわずかに腕の力を緩める彼。熱のこもった彼の瞳に、キスの予感がした。縮まる距離に思わず目を閉じるが、彼はぴたり、と動きを止め躊躇するように瞳を揺らしながり髪を撫でる。
「…ま、“また”やめちゃうんですか…?」
「!…お前な…」
初めて重なった唇。
やがて遠慮がなくなったように角度を変えてキスの雨が降る。受け止めるだけで精一杯の私に気づき、律さんの力強い腕がそっ、と腰に回された。
後頭部を包む男らしい手。唇の間から漏れる吐息を聞くたびに、くらり、とする。
「…んっ、り、つさん、ここ外です…!」
「っ…、誰も見てない…」
「…そっ、そういうことじゃ、なくって…!!」
キスの合間に交わされた短い言葉。
唇を離した彼の胸に、くた…っ、と寄りかかると、そのまま私を抱きしめた律さんは、艶っぽく焦ったいような声で囁いた。
「…まずいな。このまま離したくない。」
「…っ!」



