その時、目の前を歩くすらっと姿勢の良い男がいることに気づいた。
「竜童先輩?」
つい、口から言葉がでてしまった。
「昨日の…!?」
不意に驚いた顔をされたので戸惑う。
「え?どうしました?」
「ほっぺ、赤い!もしかして昨日ぶつかった時の?」
昨日ぶつかったのは肩だと記憶しているが、なるほど、彼は自分とぶつかったことが原因で私の右頬が腫れていると思ったのだ。
そんな優しい思いやりのある怪我ならいいのだが。
「ちがいますよ!!これは、その、ぶつけちゃって!」
「そうなの?意外とそそっかしいんだね。」
安心したように目尻を細めて笑う先輩はやはりカッコよかった。

