関西弁の声の方を見ると、さっき颯介、陽介に続いて拍手をしてくれた子だった。



目がクリクリで栗色のロングヘアの子がニコニコ笑って立っていた。


「・・・ネタ・・?」


「あぁ~気悪くさせたら、ごめんな!親の事ちゃうくてさ!絶対、用意していた原稿とちゃう事言うたやろ?めっちゃおもろい子やなぁ~思って!」


聞き慣れない関西弁でグイグイと話しかけてくれる。


私が口を開こうとした時、周りの子達の声が聞こえた。


「何あの子?あの変な話し方。関西弁?何か汚くない?下品だよね~」


怪訝そうな顔でこっちを見る数人の女子達。周りの男子も何も言わないけど笑っている。



すると、彼女は急に机をバンっと叩き、その子達の方へ行き、


「大阪から来た、西田 美月です!変な話し方でごめんやで?でもなぁ~私から言わせればアンタらの方が変やで!イントネーションがきもいわ!いちいち語尾あがっとんは、ぶりっ子なん?ほんで男共!ニヤニヤ笑っててきもい!女々しい!言いたい事あるんやったら堂々と言いにおいでや!」


一方的にまくしたてた。そんな彼女の姿に皆が唖然とする。

そんな空気を全く気にせずに、


「まぁでも、同じクラスメイトになったんやし仲良くしてな!」とニコリと笑い手を出しだす。出した手は握り返される事なく、女子達は逃げる様にその場を離れた。


握り返される事のなかった彼女の手は居場所を無くし、寂しそうにみえた。私は無意識に彼女に駆け寄り、手を取った。


「西園 椿です。よろしくね」


そう言ってからイントネーション大丈夫かな?と思っていると


ガバっと抱き締められた。

「椿~!めっちゃいい子!めっちゃ嬉しい!仲良くしてな!」


と背中をバンバン叩かれた。