その後はスムーズに入学式が行われた。
ひそひそと私の方を向いて何かを言ってる声がしたけど気にならなかった。
「では、最後に中等部の生徒会長になった西園 陽介より挨拶」
学年主任の声に驚く。
陽介、生徒会長なんだ…
壇上に上がる陽介は堂々としていた。
ブレザーのポケットから紙を取り出すと、その紙を太陽みたいな笑顔で破り捨てた。
体育館がまたざわめきを起こす。
「えーーと!今紹介された西園 陽介です!えーーと!皆さん!自分の楽しみは自分で見つけて、新しい世界に自分から踏み込んでいきましょう!楽しい事じゃんじゃん募集します!楽しければオッケー!以上!」
そう言ってピースサインをした。
「に…西園!」
学年主任が真っ赤な顔をして壇上を駆け上がる。
私は真っ先に拍手を精一杯した。
一斉に私に視線は移ったけど気にせず拍手をする。
それに釣られてか周りも拍手をし体育館中は拍手に包まれた。
陽介は満足そうな笑顔で自分の席に戻った。
最後の校長先生の苦虫をかみつぶしたような顔は今でも忘れる事が出来ない。
私はこれからの中学生活がどんなものになるか不安と楽しみで一杯だった。
教室に戻ると、ある程度の固まりが既に出来ていた。
私はあれから学年主任に呼び出され、陽介と共にこびっとく叱られた。
あぁ既にグループが出来上がっている。
前までの私なら、どうにかしてグループに溶け込もうとしていたけど
今は何故か平気だった。
自分の席に座ると、
「なぁなぁなぁ!さっきのスピーチめっちゃうけたんやけど!何なんあれ?ネタ?」
聞き慣れない関西弁が降ってきた。