本来なら、この続きは先生や親に向けて感謝の気持ちやら、これから見守って指導して欲しいと言う文面だけど…
颯介の目が私に言っている。
”嘘つき“だと。私は、目を瞑り気持ちを整える。
小さく深呼吸をして覚悟を決めた。
「私は!親が居ません。捨てられました。私は施設で過ごした時期があります。」
いきなりの私の発言に体育館がざわめき始める。
それもそうだ。進学校に主席で入った生徒がいきなり、こんな事を言うなんて非常識もいいところだ。
先生達が焦っているのが上から見ても分かる。
でも私は続ける。
「それでも!私は自分の未来は自分で切り拓き…自分の力で新しい生活を幸せあるものにしたいです!だから皆さんも、自分の幸せは、自分で作って欲しいと思ってます。暗くて辛い道のりでも!それでも、自分は幸せになるんだ!そう思ってこの学生時代を…過ごしたい!」
一気に言った。
体育館は静まり返り、学年主任が階段を上がって来るのが見えた。
「西園さん!君は一体何を…」
その声を遮ったのは1人の拍手の音だった。
拍手が聞こえる方向を見るとそこに居たのは…
颯介だった。
どこか満足そうな顔で拍手をしていた。
それに続いて、陽介も拍手をしてくれた。
その拍手の後に1人の女の子が立ち上がり拍手をした。
その後に続く者はおらず体育館は3人の拍手だけが小さく鳴り響いた。
「にっ西園さん!挨拶はもう良いから壇上から降りなさい!」
そう言われ私はぺこりと挨拶をして自分の席に戻った。
戻る最中は皆が怪訝そうに私を見ていた。
それでも私は何故か満たされた気持ちで一般だった。