「・・・その気持ち僕はわかってあげれるよ。共感してあげる。一緒に憎んであげる」
陽介とは違って、颯介からは暖かさなんて一切感じれなかった。でも・・・何だか不思議と颯介と一緒にいたいと思った。ただただ、隣にいて欲しいと思った。
「・・・私は・・・ママを・・許せないっ・・・」
誰にも言えなかった想いが零れ落ちる。
颯介は黙って私が泣き止むまで抱きしめていてくれた。
そして泣き止んだ私を確認すると、残酷で恐ろしい言葉を私の目を離す事なく言った。
「ねぇ椿・・・大人になったらさ・・・母親の事殺しにいこうよ」
そう目を細めて笑った。
この人は何を言っているのだろうか?ママを殺すなんてそんな残酷な事・・・・。
そんな事出来る訳がない。
そう思っているのに、そんな事したくないと思っているのに・・・私は言ってはいけない事を言っていた。
「うん。私は・・・大人になったら・・ママを殺す…」
「約束だよ。椿」私の目を捉えて放さない颯介がそう言った。
私は今日3つの約束をした。
1つ目は信也さんと
“誇りと完全なる美しさを持ち強くなる”
2つ目は陽介と
“大人になったらママを探しにいこう”
3つ目は颯介と
“大人になったら母親を殺しにいこう”
全ての約束が儚く、矛盾をしたものだった。
それでも、私は全てを叶えたい、叶えばいいと強く思った。
私はこの約束を1つでも守る事が出来るのだろうか・・・。
