「ねぇ、椿。母親に会ってどうすんの?もしかして、抱き締めてくれるとか思っちゃってる?」


そう言うと本当に可笑しそうに笑う颯介がいた。


「…私は…」


まただ。颯介は陽介と真逆の事を言ってくる。そしてそんな颯介の言葉を否定出来ない私がいる。


「椿はさ、母親の事許せないでしょ?だって自分を簡単に捨てたんだ。何回も出した手紙も無視され、電話も繋がらない。あげくに、たった10万円ぽっちで、永遠に姿を消したんだ。そんな母親本当に許せるの?」


どうして知っているんだろうか。
どうして、私はそんな事ない!と言えないんだろうか…。


颯介は何も言えない私に言葉を続ける。


「椿、今思う事は何?いい子の椿じゃなくて、本当の椿はどう思ってるの?」そう言って私の心臓の上を指で押す。


私の本当の思う事…?


ほんとは…


「どうして…何で…何で捨てたの…いい子にしてた…」


「そう。偽りのいい子でも、椿は頑張っていた。そんな椿を母親は捨てた。裏切った!」


私は捨てられた…。


「私は…私は…」


「酷いよね?辛いよね?子どもは親を選べない。でも親は選べる。要らなくなったら捨てれるんだもん。」

要らなくなったら…


「私は……」