“大切な人を守れる強さ”
私は君に取って“大切な人”だったかどうかわ分からないけど、
いつも守られていたよ。
私は何一つ守れる事出来なかったのにね。
へへっと鼻の下を擦る陽介がたまらなくかっこ良く見えた。
『よし!椿!パーティーの準備しよ!』
そう言って立ち上がり、私に手を差し伸べてきた。
『パーティー?』
何のパーティーだろ?
『今日は椿の12歳の誕生日だろ?』
と不思議そうに私を見る。
忘れてた。
朝から色んな事があり、忘れてた。
いや、忘れたかった。
自分の誕生日にママに捨てられ、過去とママを捨て、真也さんに拾われた。そして、強くなると決めたと思ったら、陽介に出会ってママを探す約束をした。
こんな最低で矛盾した日なんかが誕生日なんて、ほんと最低だ。
そもそも、誕生日パーティーの準備を当の本人がするものだっけ?
『椿!楽しいことは自分から踏み込まないと!だからパーティーも自分の理想のパーティーにしよ!』
と何とも可笑しくて、心が躍る事を言う陽介。
思わず
『うん!私、今まで誕生日パーティーして貰った事ないかも。』
施設での誕生日パーティーはあったけど合同パーティーだったから。
