「・・・可愛くないよ」そう顔を逸らす私に対して


「可愛いよ。椿は凄く可愛い」と恥ずかしがる事なくストレートに言ってくる。


「可愛くない!!」思わず、大声を出してしまった。


私は可愛くなんてない。卑怯で汚くて貪欲な人間なんだから。


陽介は大声を出した私にビックリした顔をしたけど、直ぐにいつもの笑顔に戻り


「椿、何かあった?」そう聞いてくれた。



「何もないよ。でも・・・私は・・・陽介が思っている様な子じゃないよ」私の小さくて弱弱しい声もすら必ず拾ってくれる。


「俺は、椿は素直でいい子だと思っているよ。ねぇ、椿。何があっても自分自身を信じて。そんで俺の事も信じて?絶対に椿を守るから」そう言って私の目を真っ直ぐ見つめる。


陽介・・君はどんな時でも私の味方でいてくれたよね。偽りの私をどんな時でも信じてくれた。私はそんな君をいつも裏切ってばかりだったよね――――――。


私は何も言わず、淡々とシュークリームを口に運んだ。陽介もそれ以上の話はせずに
自分が行った打ち上げの話を面白可笑しく話してくれた。


気付けば1時間くらいは喋っていた。


陽介は時計を見ると


「わっ!もうこんな時間!明日も学校だし、そろそろ部屋に戻るよ」そう言ってソファーから立ち上がる。


「陽介!あの!ありがとう!シュークリーム!」お礼を言う私の頭をポンポン叩き


「おやすみ」だけ言うと部屋から出て行った。


ドアが閉まると私は、そのままソファーに寝転がる。


今日も1日色々とあったなと思い目を瞑る。


目を瞑ると真っ先に瞼の裏に映ったのは、颯介の姿だった。


やっぱり私の頭はイカレている。そう思っていると睡魔が襲ってきて私は深い眠りについた。