陽介は部屋に入ると、ソファーに座り


「椿!今日デートだったんだろ?どうだった?」とシュークリームの箱を開けながら聞いてきた。


「・・うん・・・。楽しかったよ。あのね!美月と卓也さんが付き合う事になってね・・・。2人も凄くラブラブで私・・・邪魔だったかも・・」と答える。


こんな話し方は卑怯だ。と思った。まるで陽介が何て答えるか試しているみたいだ・・。


「お~!良かったじゃん!美月ちゃんが椿の事を邪魔だなんて思う訳ないだろ?美月ちゃんに取って椿は大切な友達なんだからさ」と笑顔を崩す事なく答えられる。


「うん・・・。そうかな・・・」颯介の隣に座り、ポツリと呟く私の頭を陽介が撫でた。

「大丈夫だよ。美月ちゃんはそんな風に思う子じゃない事、一番分かっているの椿だろ?」と慰めてくれる。


私は本当に卑怯だ。陽介が何を言うか本当は分かっていた。分かっていた上で、言わせたんだ。


こうして、私を暖かく包んでくれる様に仕向けたんだ。


私はどこまでも汚くて、貪欲な人間だ。


「うん。ありがとう」そう微笑み返すと


「シュークリーム食べよ!」と1つ私に渡してくれる。


渡されたシュークリームを口に入れると甘さが口いっぱいに広がる。


「美味しい」そう言った時、陽介の顔が至近距離にある事に気付き驚いた。


「椿、クリームついている」そう言うと私の口元についたクリームを指で拭うと自分の舌でペロリと舐めた。


その行動に思わず、顔がカッと火照るのがわかった。


「椿は可愛いね。」そう言ってクスクス笑う陽介の顔をまともに見る事が出来なかった。