陽介が、教室を出て行くと数人のクラスメイトが私達に近付いて来た。


「西園さん、西田さん良かったら一緒にご飯食べない?」


そこには、女の子3人がいた。


「勿論!あっでも大阪弁やで!?言い方キツいかもしれへんで!?アホちゃん?は褒め言葉やから!」そう美月が言う。


3人の女の子はポカーンとしている。


私はその光景をみて思わず笑ってしまった。


それにつられて、3人も笑う。


「え!?ここ笑うところちゃうから!何もオモロイ事言ってへんねんけど!」そう言う美月に更に笑いが起きる。


その後は5人で、誰がカッコイイとか今何のドラマを観てるとか、普通の学生がする様な話をした。


まさか、私にこんな風に誰かと楽しくご飯を食べる日がくるとは思っていなかった。


施設にいた時は常に気を使って、“いい子”でいる事に必死だったから。


今はこうして、同年代の子達と普通の中学1年として話せてる。


今は、“捨て子“という劣等感はなかった。


でも、“捨て子”という事実は消せな。その事を思い知る事にいつかはなると不安は拭い切れなかった。