運動場全体が一気に盛り上がる。
「ヒューーー!」
「誰の事だー?」
「愛の告白かーー?」
「ヤーダーー!」
様々な声が颯介に向けられる。私は胸のドキドキが抑えられなかった。
あんな風に目立つ様な事を颯介がするとは思っていなかった。
『おーーー!封筒の中の内容が気になるところですが、まずは来て欲しい方の名前を呼んで貰いましょうか!』
アナウンスの声も興奮に満ちていた。
『…3年A組の、木下 美香さん。僕の元へ来て貰えませんか?』
その一言で歓声が上がる。
木下さんと呼ばれる生徒が、友人に背中を押されて、前に出てきたのが見えた。
嘘でしょ…。どうして…。
私は頭が真っ白になった。
友人に背中を押されたその人は顔を真っ赤にして口元を覆っていた。
その顔はこれから、おそらく告白される事が分かっている上での喜びに満ちた顔だった。
そこに居たのは、視聴覚教室で私に
“捨て子”と吐き捨てたリーダー格の女だった。
