太陽と月



『借り物競走のルールですが、様々な障害を突破した最後に1枚の封筒があります!その封筒の中に書かれているものと共にゴールに向かって下さいー!』とアナウンスが流れる。


救護所からは運動場全体を見渡す事が出来た。


颯介は、C組なので赤色だ。ハチマキを頭には巻かずに腕に巻いていた。


スタートラインに立つ颯介は、周りのスタッフがストレッチをしたり、気合を入れてる中ポケットに手を入れて気怠そうに立っているだけだった。


それでも、
「西園せんぱーい!頑張ってー!」
「颯介せんぱーい!ファイトです!」
「颯介!気合入れていけー!気怠そうにしてんじゃねー!」
と声援の声が聞こえる。


その時、颯介もこの学校の人気者なんだと分かった。


確かに颯介は顔も整っているし、身長もある。パッと見た感じ陽介とは違うオーラがある。


でも、私は本当の颯介を知っている。


月の出る夜はいつもより、お喋りになる颯介。
どこか寂しそうな目をする颯介。
私の心の中に土足で入り踏み荒らす颯介。
氷の様な冷たい目を持つ颯介。



こんな醜い私の傍から離れないと言ってくれた颯介。


私は今、優越感に浸っている。


本当の貴方を知っているのは私だけだと-------。