“椿は独りぼっちだね”


その言葉が心臓をドクドクさせる。
前にも聞いたその言葉。
嫌だ…独りぼっちは嫌だ…
私を独りにしないで…


いつも独りぼっちだった。
暗くて光のない奈落の底にいつも独りで居た。ようやく、少しの光が見えたのに、またあそこに戻るのは嫌だ…。


「ねぇ椿黙っていてあげようか?陽介の怪我は椿の所為だって事を」私に顔を近づけ微笑む颯介。


私は声を出す事が出来ずに、コクリと頷いた。


するとクスクス笑い

「そうだよね。独りぼっちになるのは嫌だよね。だったら、嘘をつけばいい。陽介は転んだんだって。」


私は後戻り出来なかった。今更何を言っても、私の隠れていた気持ちは颯介には筒抜けだったから。