「…どうして…何でそんな事言うの…?」
目尻に涙がたまっているのが自分でも分かった。
瞬きをすると涙が頬をつたる。
颯介は私に近づき、私の涙を指で拭き取る。
「椿がいつまでも、中途半端ないい子を演じてるからだよ」
“中途半端”誰かにも同じ事を言われた。
進藤先輩だ…。
「…違うよ…。私はただ、陽介には笑ってて欲しいって思う!」
あの太陽みたいな笑顔を守りたいって思う。
「だったらさ、椿は自分を犠牲にしてでも陽介を守れる?自分が不幸になってでも、守れる?」そうタバコに火をつけて私に問いかける。
「陽介を…大切な人を守れるならそうするよ!」
陽介が自分を犠牲にしてでも、私を守ってくれた様に…
「本当に?だったらさ、陽介のあの怪我は椿の所為だって皆に言ってもいいんだよね?」そう聞かれた。
颯介は続けて言う。
「きっと陽介は明日学校で、怪我の理由は転んだって言うよ。卑怯者の椿を守る為に。でも本当は椿の所為で怪我をしたんだ。周りはどう思うかな?陽介の事好きな馬鹿な女達はきっと椿に罵声を浴びせるだろうね。バスケ部のエースである颯介は当分、部活は休むよね。そしたら、馬鹿な教師は椿を出来損ないの生徒だと認定する。そしてお友達の美月ちゃんは、卑怯者な椿を軽蔑して離れて言っちゃうね。」
何も言えない私に颯介は言い放った。
「そうしたら椿は独りぼっちだね」
と笑った。
