殴られても蹴られても、何の抵抗もしない陽介。
いつの間にかリーダーらしき男は遠巻きに見ておりタバコを吸っていた。
「…やめて…やっやめて…」私は泣きながら小さく訴える事しか出来なかった。
「はっ!何こいつ?やられっぱなしじゃーん!」
「だっさ!」
「とんだ弱い王子様だな」
と次々に陽介を馬鹿にした様な言葉が飛びかう。
何を言われても、どんなけ殴られても抵抗しない陽介。
「はーい!そこまで!」とリーダーらしき男が言い放つと、陽介の事を殴っていた子達が陽介から離れる。
タバコを咥えたまま、男が陽介の傍にしゃがみ込み胸倉を掴んで
「かっこ悪いね。一発くらいやり返せよ?」そう言った。
陽介は殴られた所為でか片目の半分が開いていない。
それでも真っ直ぐな目で、男を睨みつける。
「何だよ、その目」男は苛立った声で胸倉を引っ張りあげ、陽介を無理矢理立ち上がらせた。
「ほんと苛つくわ」そう言って拳を握り挙げた。
「…もう辞めて…」私は何も出来ない。怖くて立ち上がる事も出来ない。
男が握り挙げた拳を、陽介に振り下ろそうとした時
携帯の着信音が響いた。
男のポケットから聞こえてる。
男は小さく舌打ちをして、陽介の胸ぐらを離し電話に出る。
その場に崩れ落ちる陽介。
私は、恐怖で一杯だったけど陽介に駆け寄る。
「…よっ陽介…」
地べたに崩れ落ちてる陽介は弱々しく微笑み、私の頬を触る。
「椿、大丈夫だから。怪我してない?」こんな状態でも私の事を考えてくれてる。
「亮さん!こいつ、どうしますか?」電話が終わった男に周りの男の子が聞く。
亮って呼ばれた男は小さく舌打ちをして
「タク先輩に呼ばれた。もうほっとけ」そう言い放つと行くぞと周りに声をかける。
「いや…でも」不服そうな声を遮り
「お前らタク先輩の呼び出し無視出来るのか?」その一言で顔が一気に青ざめた。
「わっわかりました」そう言い
私達から離れた。
「じゃーね。ボロボロの王子様」そう下品な笑い方をして亮と呼ばれた男と周りの男の子達は闇に消えていった。
