真也さんと再び車に乗り込む。

シルバーの眼鏡をかけた男が車を発進させた。

『椿、今運転しているのが本庄だ。俺の秘書兼運転手になる。』

と教えてくれた。

ルームミラー越しに本庄さんと目が合うと、にこりと微笑んでくれた。

真也さんは社長なんだと思った。

『椿、俺は仕事が忙しいから家には殆ど帰れない。何かあれば俺の息子2人に色々教えて貰え。』

息子2人…?

必然的に私の兄弟になる人と思った。

『真也さん、息子さん居てるんだね。ねっどんな人達?』

ママに捨てられたと言うのに何処か心が弾んでる自分が何だか滑稽に感じた。

『家に着いたら、紹介してやる。』

どうしてこんなにもワクワクしてしまうんだろう。


ママには捨てられてしまったけど、マリア様はやっぱり居てる。

そう思いネックレスをギュッと握った。

まさかこの兄弟に出会った事で、私の生き方が大きく変わる事なんてこの時は想像も出来なかった。