「ま、本当に最悪最低!」

「千紗もかわいい声出してたぞ。
寝ながら反応してた」

「や、そんなこと言わないで!」

「欲情しそうになったから口塞いだ。
さすがに寝込み襲うのはずるいなって」


寝ている間にキスマークつけるのもどうかと思いますが!?

なんて、もはや言い返す気力も失う。



「じゃ、今日はもうデートなくなったし何する?」
「えっ…まだ間に合うよ」

「今から準備してたら昼過ぎるだろ?
また今度でいい」


そう言って甘く笑う彼に、私はドキドキさせられる。
目の前の彼は他に企みがあるというのに。


「今日はどこにも行かなくていいだろ?」
「……煌哉が部屋でふたりになりたいんでしょ」

「わかってんじゃん。
せっかくだし今日は…」


煌哉が笑う。
それから私の首筋にキスを落とした。

ピクリと反応して、それから軽くだけ抵抗して。


「…待って、お腹空いたから先にご飯食べる」

あくまで先にご飯を食べるだけ。
決して拒否しているわけではない。

それが煌哉にも伝わったようで嬉しそうな笑みを浮かべていた。


「へぇ、じゃあ続きはまた後で?」
「…っ、限度くらい守ってよ」

「当たり前だろ。
簡単に手出してたら千紗を泣かせるだけだから」


本人は焦っていない。
けれど、少し強引に私を染めてくる。

そんな彼に惑わされながらも私は───



確実に溺れていた。






END