けれど別に、煌哉のためとかではない。
自分のためである。

さすがに女を捨てるのはダメだと気づいたから。



「煌哉のためとかじゃない……絶対に…」

何度もそう言い聞かせ、教科書などの準備を始めた。
もうすぐで煌哉がやってくる時間だ。


少しそわそわしながらも彼が来るのを待つ。
そして───


「……っ」


ついにインターフォンが鳴った。
約束の時間の3分前。

少し早めに来るのが煌哉である。


「はーい!」

ドキドキと緊張する中、ゆっくりと玄関のドアを開ける。


煌哉は私を見ていったいどんな反応をするだろうか。
なんて、少し期待を抱きながら。



「……は」

「きょ、今日はお願いね!
じゃあ中に入って…!」


けれど煌哉は私を見るなり早速驚いたように目を見張ったため、恥ずかしくなって無理矢理彼を中へと入れる。