慌てて立ち上がり、私も校舎内に視線を向けようとした瞬間───


「……っ」

肩に手が置かれたと思うと、気づけば体が扉に押し付けられて。

状況を確認する前に、水瀬くんの整った顔がドアップに映っていた。


それから唇には柔らかなものが当たる感触がして。
すぐには理解できなかった。


だってどうして私は今───

水瀬くんとキスをしているのだろうって。
それも数秒間、唇を重ねられたキス。


突然の出来事に頭が真っ白になった私は、彼から唇を離されるまでずっと重ね合わせていた。



「……へ」


自分でも笑えるほど間抜けな声が出てしまう。
当たり前だ、昨日に引き続いて今日もキスされて。

一体私の身に何が起こっているというのだ。