ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物

空耳かな。


キョロキョロしたら、肩にのった鳥の伊邪耶が、ぴっと小さく抗議の声をあげて、私の頬をつついた。


「ごめんごめん!」


慌てて指を差し出した。


鳥の伊邪耶は、私の指に移って、ぱたぱたと羽ばたいた。



「いざや、危ないよ。おとなしくしててね。」

顔を近づけてそう言った。



伊邪耶は、ちゅくちゅくとかわいらしい鳴き声に続いて、言った。



「まいら。」




それは、お父さんでも、死んだおじいちゃんでも、薫くんでもなく……イザヤの声だった。





「イザヤ!」

思わず、鳥の伊邪耶にそう呼びかけた。




鳥の伊邪耶は目をしぱしぱさせて……ふたたび、くちゅくちゅぴよぴよと、さえずり始めた。






……夢じゃなかったんだ……。


やっぱり私、鳥の伊邪耶と一緒に、異世界に行ってたんだ……。




私の記憶だけがよすがじゃなかった。



鳥の伊邪耶も、覚えていたのだ。




イザヤとあの世界の日々を!



幸せだった、あの時を!







(了)