命綱を手繰り寄せるように、私の意識は、孝義くんの声を頼りに浮上していった。
「……動いた!まぶたが、動いた!まいら!まいら!」
懐かしい声がする。
……お父さんだ……。
嗚咽……鼻水をすすりあげる音……か細い声……。
これは、お母さん。
何を言ってんのか、わかんない。
うにゃうにゃふにゃふにゃ……じれったい。
不意に頬に熱を感じた。
温かい……。
この感触……知ってる……。
お母さんの手……。
鼻の奥がつーんとして……涙が溢れ出す……。
お母さん。
お母さん。
……私……赤ちゃん……守れなかった……。
再び、孝義くんの念仏が聞こえてきた。
この声の深さに、救われる……。
私の悲しみは、意識とともに、深淵に沈んだ。
************************************************************
目覚めは突然の頭痛。
頭が割れそうな痛みに、私は七転八倒した。
「まいら!?」
お父さんの声。
「痛いっ!頭痛い!痛いっ!」
そう訴えたら、お父さんがナースコールで叫んだ。
「娘の意識が戻りました!頭が痛いと言ってます!来てください!」
お父さん!
お父さんだ!
お父さん!
……娘、と呼ばれたことで、私は胸がいっぱいになった。
「まいら……」
オロオロしてるお母さんの弱々しい声。
夢じゃない。
戻って来たんだ。
ぐるりと見渡す。
白い部屋。
……ティガの研究室?
違う。
天井にカーテンレールがある。
覗き込むお父さんとお母さん。
駆け付けた看護師さんとお医者さん。
……あれ?
「孝義くんは?」
そう聞いたら、お父さんもお母さんも、変な顔になった。
「……意識が戻ってすぐ、『孝義くん』って……」
「孝義くんは、京都でお勤めでしょ。まいらのこと、まだ何も言ってないわよ。今日中に意識が戻らなかったら、連絡するつもりだったけど。」
お母さんの言葉に、私は首をふるふる動かして……突如おそわれた激しい痛みに目をつぶった。
身体に繋がっている点滴に、医師が別の薬を入れるよう看護師に指示をして行った。
しばらくしたら、頭痛がおさまった。
ようやく目を開けたら、お父さんとお母さんが心配そうに私を凝視していた。
「私……どうしたの?」
まだぼんやりしてるけど、記憶はあった。
イザヤと船ごと湖に沈んだはずだった。
ふとももの矢傷も……不正出血も……どう思われてるんだろう……。
「……動いた!まぶたが、動いた!まいら!まいら!」
懐かしい声がする。
……お父さんだ……。
嗚咽……鼻水をすすりあげる音……か細い声……。
これは、お母さん。
何を言ってんのか、わかんない。
うにゃうにゃふにゃふにゃ……じれったい。
不意に頬に熱を感じた。
温かい……。
この感触……知ってる……。
お母さんの手……。
鼻の奥がつーんとして……涙が溢れ出す……。
お母さん。
お母さん。
……私……赤ちゃん……守れなかった……。
再び、孝義くんの念仏が聞こえてきた。
この声の深さに、救われる……。
私の悲しみは、意識とともに、深淵に沈んだ。
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目覚めは突然の頭痛。
頭が割れそうな痛みに、私は七転八倒した。
「まいら!?」
お父さんの声。
「痛いっ!頭痛い!痛いっ!」
そう訴えたら、お父さんがナースコールで叫んだ。
「娘の意識が戻りました!頭が痛いと言ってます!来てください!」
お父さん!
お父さんだ!
お父さん!
……娘、と呼ばれたことで、私は胸がいっぱいになった。
「まいら……」
オロオロしてるお母さんの弱々しい声。
夢じゃない。
戻って来たんだ。
ぐるりと見渡す。
白い部屋。
……ティガの研究室?
違う。
天井にカーテンレールがある。
覗き込むお父さんとお母さん。
駆け付けた看護師さんとお医者さん。
……あれ?
「孝義くんは?」
そう聞いたら、お父さんもお母さんも、変な顔になった。
「……意識が戻ってすぐ、『孝義くん』って……」
「孝義くんは、京都でお勤めでしょ。まいらのこと、まだ何も言ってないわよ。今日中に意識が戻らなかったら、連絡するつもりだったけど。」
お母さんの言葉に、私は首をふるふる動かして……突如おそわれた激しい痛みに目をつぶった。
身体に繋がっている点滴に、医師が別の薬を入れるよう看護師に指示をして行った。
しばらくしたら、頭痛がおさまった。
ようやく目を開けたら、お父さんとお母さんが心配そうに私を凝視していた。
「私……どうしたの?」
まだぼんやりしてるけど、記憶はあった。
イザヤと船ごと湖に沈んだはずだった。
ふとももの矢傷も……不正出血も……どう思われてるんだろう……。



