きみはハリネズミのレビュー一覧
5.0
青春が蘇った。ページを捲ると、これでもかってくらい、この世界観に引きこまれる。まるで私が彼らの学校にいるみたいな感覚を呼び起こされました
ハリネズミのように棘で自分を守って、皆とは一線を画していたなこ。そんな彼女の針で覆われた心に光を燈したのは大っ嫌いな茅ヶ崎くんだった
『自分に未来を贈れるのは自分しかいないんだよ』
そう、彼は言った
なんて優しい言葉なんだろう。胸にすっと溶け込んでくる温かいメッセージ
美文、と一言で現わすことすら恐れ多いほどの綺麗な言葉たちで紡がれていて。私の心にも『届きました』
本作品の魅力はリアルな青春の淡さや輝きもそうですが、敢えて「飲み物」という形に落とし込んで表現していることだと感じています
声をあげたい。そう思っている人がいたら、私も手を差し伸べたい。
お気に入りの一文を今日も私は口ずさむ。
『震える期待に深呼吸をすれば、青空に手が届く気がした。』
ラストに感動しました。
読者の気分を操るのがすごく上手くて、落としてからの上げる構成や描写に、思わずうるっときてしまいました。
心臓をつままれたようにキュッとなる展開は、とてもリアルで、高校の文化祭を経験した人にはきっと、共感できるお話だと思います。
クラスの人達が一生懸命作り上げていく様子や、問題が起きた時の荒れ方、受験期で忙しいのに勉強と両立して文化祭も頑張らなくてはならない葛藤の気持ちなど、痛いほど伝わってきて、本当に感動しました。
きっと、自分の過去を思い出して共感できる作品だと思います。
ぜひ皆様、1度読んでみてください。
素敵なお話をありがとうございました!
なこちゃんの人間関係の悩みとか不安とかを抱えながらそれでも自分の本音を届けたい、そんな姿がとっても好きです!
甘くてどこか苦しい、でもどうしてか触れてしまう青春をイチゴミルク、なこちゃんの纏った固くてやわらかい鎧をハリネズミの針。
どこか矛盾したふたつをここまで綺麗に例えられるものがあるのか、と思いました。
72ページの文章が本当に好きで、特に“目を閉じて、耳を塞いで”からの文章が臆病だったなこちゃんの成長がひしひしと伝わってきて、好きで好きでしょうがない!!!
なこちゃんが茅ヶ崎くんと向き合うことで周りとも向き合えて、強くなる様子が私の大好きな依兎ちゃんの優しくてでもどこか鋭く心に訴えかけくれる文章で描かれいて読んでいて心が震えました!
読んで強くなれる、前を向ける、そんな作品でした
あと、個人的にクライマックスにかけて茅ヶ崎くんが時々“なこ”って呼んでるのが...🤫
はりねずみ と ハリネズミ。
ハリネズミだから、こんなにも痛そうで。
ハリネズミだから、こんなにもあたたかくて。
ハリネズミだから、こんなにも優しい。
作者さんが“ハリネズミ”と表したこと。それが示す世界の青さ、痛み、甘いあたたかさ。
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紡がれた文章。なこちゃんからみた世界。
だからこそ、痛みと強さが、読み手の心とまじわる。共感し、涙が目に浮かびます。
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68ページの文章に、鳥肌がたちました。
空気が変わったことを、実感しました。
68ページの展開だけをみたら、悔しさに涙が浮かぶシーン。だけど、私はストーリー展開ではなく、文章のすっと心に入ってくる様子に感動し、涙しました。
72ページの、情景がはっきりと浮かぶ描写にも、涙が溢れます。
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痛くて、痛くて。
だけど大丈夫。
君が光をくれたから。
甘くて、甘くて。
――だいすき。