そう蒼樹さんは言い、私を軽々と抱き上げました。そしてその翼を広げ空へと舞い上がります。

「きゃっ!!」

私は蒼樹さんに強くしがみつきました。蒼樹さんの頰は、私と同じように赤く染まっています。

街の外れにある展望台に蒼樹さんは降りました。しかし、私は蒼樹さんに抱き上げられたままです。

「……私のお店は、人だけでなく妖怪も訪れます。栞さんが来ていた時には、妖怪たちには来ないように言ってありました。店主の私もこのような存在です。それでも、本当によろしいですか?」

蒼樹さんは私をまっすぐに見つめます。その目には、不安な思いがあるとすぐにわかりました。私はニコリと微笑みます。

「はい、私はあなたのことがずっと好きでした。この気持ちを周りに悟られないようにするのは、大変でした」

蒼樹さんは驚いたような表情を一瞬見せた後、涙を滲ませた目で微笑みます。

「……ありがとう」

蒼樹さんはそう言い、私を抱きしめます。出会って一年、やっと私たちはお付き合いをすることが決まりました。