エリート御曹司と愛され束縛同居

「……もう一度言うがくれぐれも岩瀬くんに負担をかけるなよ。佐久間に文句を言われるのは俺だぞ。あいつは岩瀬くんを娘のように大事に思っているから、きちんと挨拶に行くんだぞ。私も必要とあらば伺うから」

よくわからない話に呆然とする。


佐久間って圭太のお父様だよね？　挨拶って誰に？　一体なんの話？


なんとか気持ちを奮い立たせて社長に問いかけようとすると、さっと遮られた。

「その件はまたきちんと話します。それより社長、阪井さんが痺れを切らしていますよ？」

これまた真面目な表情で言われて社長は一瞬眉をひそめ、近くに控えていた阪井さんを見る。

無言で頭を下げた秘書に頷いた後、座敷内の役員や先輩方、私に声をかけてくださり、社長は目的地に向かわれた。

この場ですぐに遥さんを問いただしたい衝動にかられたけれど、さすがにそうはできず押し黙った。


歓迎会は社長と阪井さん以外の役員、秘書課社員が参加してくださった。

広めの和室の一部屋が貸し切られ、大きめの座卓が置かれていた。

私の右隣に副社長、その隣には是川さんが座っていた。私の真向かいには専務、その右隣には津守さんが座っていた。

出された和食のコース料理はとても美味しく、和やかな時間が過ぎていった。

皆様と少しずつお話をさせていただき、その後は銘々が席を動いて楽しく話していた。