「この資料に目を通しておいて。後はそうね、給湯室の使用方法も説明するわ」
立ち上がった津守さんの後に続く。
給湯室に向かうと瑞々しい向日葵を活けた一輪挿しが入口近くにある棚の上に置かれていた。
「あら、社長室のお花ね」
目を留めてごく自然に言う津守さんに思わず尋ねた。
「お部屋にお花を飾るのですか?」
そういう習慣なのだろうか。
「決まり事ではないのよ。社長の奥様が向日葵をお好きなのでこの時期はよく飾るの。社長は愛妻家だから向日葵をご覧になると嬉しそうになさるの。奥様を思い出すと言ってね。九重家の方々は花好きの人が多くて節目ごとによく贈ったり育てたりしてるのよ」
「そうなんですね……」
「ちなみに副社長は特にお気に入りの花はないらしいから私が勝手に飾ったりしてるわ。私はトルコ桔梗が好きなんだけど、岩瀬さんは好きなお花はある?」
「……ガーベラが好きです」
「ああ、綺麗よね、場がぱあっと華やぐもの。それじゃ今度はガーベラを飾りましょうか」
にこやかに言いながら、津守さんは給湯室の使用方法を教えてくれた。
立ち上がった津守さんの後に続く。
給湯室に向かうと瑞々しい向日葵を活けた一輪挿しが入口近くにある棚の上に置かれていた。
「あら、社長室のお花ね」
目を留めてごく自然に言う津守さんに思わず尋ねた。
「お部屋にお花を飾るのですか?」
そういう習慣なのだろうか。
「決まり事ではないのよ。社長の奥様が向日葵をお好きなのでこの時期はよく飾るの。社長は愛妻家だから向日葵をご覧になると嬉しそうになさるの。奥様を思い出すと言ってね。九重家の方々は花好きの人が多くて節目ごとによく贈ったり育てたりしてるのよ」
「そうなんですね……」
「ちなみに副社長は特にお気に入りの花はないらしいから私が勝手に飾ったりしてるわ。私はトルコ桔梗が好きなんだけど、岩瀬さんは好きなお花はある?」
「……ガーベラが好きです」
「ああ、綺麗よね、場がぱあっと華やぐもの。それじゃ今度はガーベラを飾りましょうか」
にこやかに言いながら、津守さんは給湯室の使用方法を教えてくれた。

