エリート御曹司と愛され束縛同居

ホテルの建設以外にその目玉になるサービスとして、ヘリコプターでの空の遊覧を検討している。

敷地内にヘリポートを建設し、そこから離発着をする予定で、価格設定やサービス内容など細かな点はまだ決まっていないが、コースなどはほぼ決定しているという。

「試験的な導入の意味もあって、ホテル周辺を飛ぶという話が現在進められているの。でも、やはり副社長は遊覧にこだわっているわ。どちらにしても行政の許可は必要になるけれど、観光事業になるから」

示してもらった説明資料に目を向けると図案などが細かく書き込まれている。

昨今の外国人観光客の増加も見込まれた新ホテル建設計画は現在順調に進んでいるらしい。

最新の設備やセキュリティ、魅力的なサービス……読んでいるだけで宿泊してみたいという思いが湧き上がる。

「ヘリコプターでの遊覧は新ホテル周辺の大地主である植戸家のご協力が必須なの」

騒音の件など、周囲の住民の理解や賛成がどうしても必要になる。

現在検討されている飛行ルートのほとんどは植戸家が所有している地所の上空だ。代々の大地主である植戸家は周囲の住民からの信頼も厚く、遥さんも植戸家に挨拶に伺っている。

幸いにも現在の当主は新ホテルの建設とヘリコプターの遊覧に賛成だそうだ。

七十代半ばにはとても見えない、若々しく元気な男性当主だという。