「同居の条件が恋人役っておかしいでしょ……」
もう一度確認するかのように伝えてみる。
『じゃあ、実は俺の恋人だから、そんな役は引き受けられないって今から断るか?』
「冗談でしょ、ありえない。なんでそんな展開になるのよ」
迷いもせず即座に否定するとハハッと明るい声が響いた。
『そう言うとは思ったけど傷つくなあ。俺だと即断できるのに先輩には迷うんだからまったく考えられない状況じゃないだろ』
「恋人と恋人役は違うでしょ……そもそも住居問題があるんだし」
『似たようなものだよ。ふたり共決まった婚約者がいるわけでもないし、問題ないだろ。先輩は男の俺から見てもイイ男だし、折角だから久しぶりに恋愛してみてもいいんじゃないか? 応援するぞ? 面倒臭がらずに新たな恋への一歩を踏み出せよ』
まさかの応援までされて二の句が継げない。
「……お兄ちゃんや両親にばれたらどうするのよ」
『そうなって困るのは澪だろ。もしもの時は先輩に挨拶でもなんでもしてもらえよ』
おじさんもおばさんもきっと大喜びだぞ、と付け足された。
「……挨拶ってなんの?」
聞き返した途端、楽しそうな声が機械越しに響く。
『先輩に言えばわかるって。今から出かけるからまた電話する。じゃあ澪、頑張れよ』
軽快な調子で通話を終えられてしまい、首を傾げる。なにをどう頑張れというのか。
結局この事態の解決にはならないし、後押しまでされてしまい、ますます意味がわからない。
もう一度確認するかのように伝えてみる。
『じゃあ、実は俺の恋人だから、そんな役は引き受けられないって今から断るか?』
「冗談でしょ、ありえない。なんでそんな展開になるのよ」
迷いもせず即座に否定するとハハッと明るい声が響いた。
『そう言うとは思ったけど傷つくなあ。俺だと即断できるのに先輩には迷うんだからまったく考えられない状況じゃないだろ』
「恋人と恋人役は違うでしょ……そもそも住居問題があるんだし」
『似たようなものだよ。ふたり共決まった婚約者がいるわけでもないし、問題ないだろ。先輩は男の俺から見てもイイ男だし、折角だから久しぶりに恋愛してみてもいいんじゃないか? 応援するぞ? 面倒臭がらずに新たな恋への一歩を踏み出せよ』
まさかの応援までされて二の句が継げない。
「……お兄ちゃんや両親にばれたらどうするのよ」
『そうなって困るのは澪だろ。もしもの時は先輩に挨拶でもなんでもしてもらえよ』
おじさんもおばさんもきっと大喜びだぞ、と付け足された。
「……挨拶ってなんの?」
聞き返した途端、楽しそうな声が機械越しに響く。
『先輩に言えばわかるって。今から出かけるからまた電話する。じゃあ澪、頑張れよ』
軽快な調子で通話を終えられてしまい、首を傾げる。なにをどう頑張れというのか。
結局この事態の解決にはならないし、後押しまでされてしまい、ますます意味がわからない。

