「俺の引っ越し日が決定したら連絡するよ。その前に澪が自身の荷物を運んできても構わないし、そこは任せる。恐らく遥さんからは今説明した件を確認するための契約書の提出を求められると思う」

少し申し訳なさ気に言われた。きっと細々した契約という部分を気にしてくれているのだろう。

「大丈夫、きちんとサインするから。後になっていきなり高額な家賃を請求されたり、追い出されても困るもの」

わざと茶化すように話すと、安心したように幼馴染みは眉尻を下げた。

契約書は遥さんから預かって、後日圭太が郵送してくれるらしい。

「追いだされる心配は不要だよ。遥さん、しばらくは海外赴任が続くだろうから」

幼馴染みの返答に小さく安堵した。


 * * *


懐かしいとも言い難い出来事をいろいろ思い返していたら、頭がくらくらしてきた。

緊張が解けたからだろうか。

身体が重たいし、なぜか少し寒気もする。少し仮眠してそれからお風呂に入ろうか。


そう考えたのを最後に記憶がぷつりと途切れてしまった。