約束をしていた日曜日になり、マンションに向かう。

暦通りに休日がある私とは違い、圭太は日曜日は休日だが、土曜日は出勤の場合がある。ごく稀に日曜日も仕事のケースがあるので今日はきちんと休みを確保してもらっていた。


マンションの最寄駅の改札前まで迎えに来てくれている幼馴染みの行動は予想通りで、自然と眉尻が下がった。

昔からどこかに外出する時、ひとりで向かえるから大丈夫と言っても大抵自宅まで迎えに来てくれていた。

大きな柱に凭れて立っている長身の幼馴染みを改めて見つめる。

相変わらず容姿が整っている圭太は周囲の女性から注目を浴びていた。

サイドをすっきりさせたマッシュスタイルの髪型に今日は大きめの黒縁眼鏡をかけている。

あいにくの小雨が降っているため傘を持ち、色の抜けたデニムにベージュの襟付きシャツというラフな装いがとてもよく似合っている。


「圭太」


改札を抜けながら名前を呼ぶと、手を振ってくれた。途端に周囲の女性の無遠慮な視線が突き刺さる。


私はただの幼馴染みで恋人ではありません!


周りに大声で叫んで否定したくなる。最近ふたりで会う機会はあまりなかったので、この痛い視線を浴びるのは久しぶりだ。