エリート御曹司と愛され束縛同居

「……料理は下手ですが頑張りますから、お願いします。実家の改築が終わったらすぐに出て行きますので」

「事情はわかるが、家族でも恋人でもないのに一緒に住むのは不自然だろ。妙な噂が立ったらどうするんだ?」

幾分穏やかな口調で言われてしまう。それは私も考えた件なので、よくわかる。

「それはそうですけど……その点は気をつけますし、そもそも副社長と私の関係を勘違いする人はいないと……」

そう、それこそ皆無で杞憂だ。

接点もなければ、九重グループの御曹司なんて一般市民の私とではつり合いが取れない。分不相応もいいところだ。

そもそも玉の輿なんて夢見る気すらない。


「……わかった。じゃあお前、俺の恋人になれ」


必死に言い募る私を黙って見つめていた副社長が、なにかを思いついたように言った。

「え?」


恋人?


「すみません、今、なにか……恋人とか言いました?」

聞き間違いに違いないと思い、聞き返す。


「言った。お前が俺の恋人になるんだ、結婚前提の」


フッと口角を上げて、副社長がゆっくり言い含めるようにして繰り返す。

あり得ない展開に瞬きをするしかできない。頭の中に疑問ばかりが浮かぶ。


なにを言っているの? 結婚前提の恋人? どうしていきなりそんな話になるの?