エリート御曹司と愛され束縛同居

「……なんのために?」

冷たい綺麗な二重の目を向けつつ、淡々と尋ねられた。

平坦なのにどこか凄みのある声に怯みそうになって、ゴクリと喉が鳴る。


恐がっている場合じゃない。きちんと話をしなくちゃ。ここを追い出されたら困るのだから。


自身に言い聞かせて恐る恐る口を開く。

圭太が私の事情についてはきちんと説明したと以前に話していたので、この人は独り暮らしをするに至った理由を知っているはずだ。

先刻の亜由美との会話の内容を思い出しながら、まるでプレゼンでも行うかの如く説明する。

家主はまったく表情を変えずに黙って聞いていた。


「話はわかった。それで、そこに俺のメリットはなにかあるのか?」

話を聞き終えた途端、問いかけられる。


メリット?


思わず瞬きをする。

「め、メリットですか?」

聞き返す声が上ずる。副社長にとってメリットなんてあるわけがない。むしろ迷惑のみだ。

家賃を支払う? 絶対に無理だ。こんな高級マンションの家賃を支払う余裕があるなら今すぐ引っ越している。

ならば拙い家事くらいしか思いつかない。

「ええと、家事を、掃除と料理を……」

「料理は勉強中って、圭太に聞いていたけど?」

あっさりと切り返されて返答に困る。


もう圭太、余計な話をしないでよ!


ここにはいない幼馴染みに心の中で悪態をつく。