エリート御曹司と愛され束縛同居

「というわけでしばらくここに住もうと思って、お前に連絡をしたんだ」

「あの、ほかの部屋はないんですか?」

「別の人間に貸している。お前は実家もあるから問題ないだろう。悪いが実家に戻ってくれ。引っ越し費用は支払うから」

突然の話に開いた口がふさがらない。

事情はわかるし、言い分もわかる。

元々この部屋は副社長の部屋だし、私は家賃もなにも支払っていない。なのでどう考えても文句を言いにくい状況だ。

それでも一応、契約をしている。

「……急に言われても困ります。私にだって事情があるんですから」

必死に言うと、ここに来て初めて優しい微笑みを向けられた。

その極上の笑みにドキリと鼓動が大きく跳ねた。

副社長は優雅な所作で足元に落ちた契約書を拾い上げ、パラパラ捲る。

「ここ。事情により俺が帰国して住む事態になった際は速やかにこの部屋を出て行くって記載してるだろ」

長い指で契約書の一部分を指さされた。

目を見開いて手の中の契約書を覗き込む。