エリート御曹司と愛され束縛同居

家主の電話番号は電話帳に登録してある。

苦しまぎれに言うと、再び胡乱な目を向けられる。

「仕事用と私用とふたつあるって契約書に記載しているだろ? 二種類の番号が書かれてあったはずだ」

冷淡に言われ、慌てて契約書を見直す。

確かに記載されている。ただしひとつの電話番号はわかりやすく書かれているけれど、もうひとつは少し離れた場所に小さく書かれていた。


……こんなの見落とすわよ……!


言い返したいけれど、明らかに私のミスなので言えない。


ああ、どうしてもっとよく確認しなかったんだろう。


「すみません……以後気をつけます」

「……以後?」

私が発した単語に首を傾げながら立ち上がる。


なにかおかしな発言をしただろうか。


「話を聞いていたか? 俺は帰国したんだ」

眼前に立ちはだかる美形男性はもはや不機嫌さを隠そうともしない。

「聞いてますよ。帰国されたんですよね? いつまで滞在されるんですか? その間私は実家に戻りますから」


要するに私が邪魔なんでしょ? それくらいわかるわよ。


いくら貸主で身元はしっかりしていると言ってもよく知りもしない異性だ。ここで共に寝るわけにもいかない。

今回の件は着信に気づかなかった私のミスでもある。海外に戻るまでは不便だけど実家の仮住まいマンションに泊めてもらおう。

「ずっとだ」

家主が淡々と言う。


この人今、なんて言った? ずっと? ずっと、ってどういう意味?