エリート御曹司と愛され束縛同居

ふわりと頬を緩める君は、ずっと、俺のただひとりの“お姫様”だった。


頭を掠める懐かしい記憶。

律義な幼馴染みは幼い日の約束を今日、しっかりと守ってくれた。


「……本当に“お姫様”みたいだな」

「そうね。澪、本当に綺麗」

「……ああ」

皆に祝福されながらゆっくりとバージンロードを歩くふたり。

色とりどりのフラワーシャワーがふたりを鮮やかに包み込む。

「泣きそうになってるわよ」

隣にいる亜由美が困ったような声を出す。

「感傷的になってるだけ。俺の“お姫様”は遠くに行ってしまったな、ってさ」

「なに言ってるのよ、自分から手放したくせに」

「……俺は“兄”で“王子様”にはなれなかったからな」

「澪にとっては、圭太も十分“王子様”だったわよ。本物の過保護な兄だっているんだから」

そう言ってちらりと最前列の席に視線を移す。


そこでは凪さんが妻の瑠香さんにハンカチで涙を拭ってもらっていた。

決して妹の前では泣かなかった人が、今日はずっと目を真っ赤にしている。

きっと凪さんも言葉にならない思いを抱えているんだろう。


「……いつか、圭太だけの“お姫様”が現れるわよ」

きっとこれは最大級の亜由美からの慰めなのだろう。

俺の心の奥底をいつも慮りながらも、素知らぬふりでともに過ごしてくれた澪の親友。

彼女もとても懐が深い。