エリート御曹司と愛され束縛同居

「岩瀬さんは副社長室よ。もうすぐ戻ってくるんじゃない?」

「じゃあ、ここで少し待たせていただいていいですか?」

「ええ、もちろん」

「ふたりはうまくいっているようですね」

「そうね、どちらかというと、副社長が岩瀬さんを構いたくて仕方ないみたいだけど」


……あの人、一体なにをしてるんだ。

内心で呆れながら、津守さんにお土産を渡す。


「だから、心配しすぎですってば。私ひとりで伺いますから」

「道中危ないだろう。それにお前、昨日から風邪気味なんだから今日は早く帰れ」

廊下から男女が言い争う声が聞こえてくる。

津守さんはいつものことよ、と言わんばかりに肩を竦めている。


会話の主が秘書室に姿を現す。

「岩瀬さん、どうかしたの?」

「津守さん、聞いてください。副社長が……って圭太! お帰りなさい、今着いたの?」

先ほどまでの仏頂面はどこへやら、心から嬉しそうに頬を緩める幼馴染みに、俺もつられて口角を上げる。

「ただいま、澪。さっき着いたんだ」

「元気そうで安心したよ。髪、のびたね」

「そうか?」

「……長旅で疲れただろう」

抑揚のない低い声が響く。

視線を移すと、副社長が澪の隣に寄り添いながら立っていた。


……本当に一般的な秘書との距離感というものを知っているか、失礼を承知で問い詰めたくなる。