「圭太、ありがとう」



大好きな新郎の隣で君はふわりと嬉しそうに眦を下げる。

幼い頃から何度も言われてきたその台詞を、今日ほど切なく感じた日はない。


胸の奥に微かに疼くこの痛みは、大事な“妹”を送り出す気分。

俺がこれまで守ってきた彼女を彼に委ねなければいけない、幼馴染みとしての葛藤。


今日、君は真っ白なドレスに身を包んで新たな一歩を踏みだす。



どうか幸せに。

ただそれだけを、馬鹿みたいに願う。