「……まったくお前は小さい頃から無茶ばっかりだな。考えているようで行き当たりばったりすぎなんだよ」
兄のどこか呆れたような声が頭上から響く。
「本当にね、そのくせ頑固だから勝手になんでも自分で抱えて決めちゃって。あんなに結婚願望はないって言ってたくせにね」
母のどこか面白がるような声が聞こえる。
「母さん、凪、やめなさい。九重さん、頭を上げてください。澪も」
父の穏やかな声にそうっと頭を上げると、眼前には優しい目をした家族がいた。
「ご存知のように澪は大企業の令嬢でもなんでもありません。恐らくそういう意味であなたの手助けにはならないでしょう。それでも後悔されませんか?」
「もちろんです。将来の伴侶にそんなものは望みませんし、後悔なんて絶対にしません」
力強く言い切る声に胸が震えた。
父と兄が心配してくれる気持ちが痛いほどわかる。
世界に名を響かせる御曹司の妻が務まるのか正直不安は尽きない。
なにも持たない私で大丈夫なのかと案じてくれる気持ちに家族からの愛情を感じた。
兄のどこか呆れたような声が頭上から響く。
「本当にね、そのくせ頑固だから勝手になんでも自分で抱えて決めちゃって。あんなに結婚願望はないって言ってたくせにね」
母のどこか面白がるような声が聞こえる。
「母さん、凪、やめなさい。九重さん、頭を上げてください。澪も」
父の穏やかな声にそうっと頭を上げると、眼前には優しい目をした家族がいた。
「ご存知のように澪は大企業の令嬢でもなんでもありません。恐らくそういう意味であなたの手助けにはならないでしょう。それでも後悔されませんか?」
「もちろんです。将来の伴侶にそんなものは望みませんし、後悔なんて絶対にしません」
力強く言い切る声に胸が震えた。
父と兄が心配してくれる気持ちが痛いほどわかる。
世界に名を響かせる御曹司の妻が務まるのか正直不安は尽きない。
なにも持たない私で大丈夫なのかと案じてくれる気持ちに家族からの愛情を感じた。

