エリート御曹司と愛され束縛同居

男性をその場に置き去りにしたまま、自室に引き上げ書き物机の引き出しの中から契約書を取りだす。

最初はこんな仰々しいものが必要なのかと思っていたけれど、こういう場面に遭遇すると必要な措置だったのだなと改めて感じる。

契約を交わしたいと申し出てくれた遥さんに今さらながら感謝する。

さすがは九重株式会社に勤務するやり手のキャリアウーマンだなと変なところで感心してしまう。


リビングに戻ると男性は先程と同じ場所に立っていた。

遠目に見てもやはりカッコ良い。

私が戻ってきた気配に気づいたのか、視線を向けられる。


「……俺が言うのもなんだが、不用心だと思わないのか?」

呆れたような声で言われて、瞬きを繰り返す。

「もし俺が本当に悪い人間だったらお前が自室に引き上げた瞬間に逃げるか、襲うぞ。隙がありすぎだろ」


ええっと、これは助言をされているのか、それとも馬鹿にされているの?


「……でもあなたはそんな風には見えなかったので」

「どういう意味だ?」

「もし私に危害を加えるのが目的ならこの部屋に入ってすぐに実行していたでしょう?」

これは本心だ。

まったく知らない人だがなぜかこの人は信じられると直感で感じている自分がいた。

忠告を切り返した私を一瞥し、美形男性は小さく息を吐いた。