エリート御曹司と愛され束縛同居

「あ、あなたこそ誰ですか!? ここは私の借りている部屋です!」

若干声が裏返ってしまったのは仕方ない。

これほど綺麗な面立ちの男性を見たのは初めてだし、なにより先程までの恐怖から完全には立ち直っていないのだから。

この人のスーツは見る限りとても仕立てが良さそうだ。つけている腕時計も高級ブランドのものだし、私に危害を加えるような素振りは見られない。

ただし明らかに不機嫌だけど。

「ここは俺の部屋だ。お前に部屋を貸した覚えはない」

王子様のような外見には似合わない冷たい声で一蹴されて息を呑む。


……言われている意味がわからない。


私はこの部屋を遥さんから正当な手順で借りているし、契約書だってある。

「わ、私はここをきちんと家主の方から借りています。契約だって済ませました!」

まだ震えの残る足で必死に立ち上がり、正面から向き合う。

やはり背が高い。きっと百八十センチメートルは余裕で超えているだろう。

私の返答に目の前の男性がぴくりと片眉を上げる。

「……契約?」

「そうです。あなたこそ誰ですか? いきなり入ってきて、こんなの不法侵入ですよ」

身長差はあるもののキッと美形男性を見上げて睨みつける。

「……お前、その契約日いつだ?」

質問には一切答えず、おもむろに尋ねてくる。

なぜか嫌な予感がする。

「ええっと……ちょっとここで待っていてください。契約書を取ってきます」


そうよ、それを見せれば一目瞭然だ。私がここの正当な借主だと主張できるわ。どうして早く思いつかなかったんだろう。