エリート御曹司と愛され束縛同居

「今朝も言ったけど、圭太はなにも知らないんだから、巻き込んで怒るのはやめてよ」

『あいつの確認不足でもあるだろう。まずは恋人と結婚を前提とした同棲なのかきちんと話し合え。それができないなら実家に今すぐ戻れ。まだ両親には今回の件は話していないし、話し合うなら黙っていてやる』

「結婚前提ではないって結論になったらどうするの……?」

『すぐに実家に連れ戻す、決まってるだろ。もちろん結婚前提と言われたら恋人とお互いの両親に挨拶をきちんとしなさい』

にべもない口調で言い切られて反論ができない。

兄の言い分は悔しいが筋が通っている。

この一件を両親が知ったらきっと兄と同じ反応をするだろうし、余計な心配をかけてしまうのは目に見えている。

「でも遥さんは副社長だし、会社や家の繋がりだってあるから……」

『それがなんだ? まさかほかに婚約者でもいるのか? そうなら益々同棲を認めるわけにはいかない』

一方的にまくし立てられて反論できない。

脳裏に一瞬、桃子さんの姿が浮かんで心が重くなる。

ほかに婚約者がいるなんて思っていない。

でも候補者はたくさんいるのではないかと邪推してしまう。

ただの一会社員の私が諸手を挙げて遥さんの家族に賛成してもらえる自信はない。

むしろ対等に堂々と物事を捉える兄は凄いと尊敬してしまう。

『……澪、古い考えと言われても俺はケジメが大事だと思う。今は付き合い始めかもしれないが、このままなし崩しになったらどうするんだ? 中途半端な状態で数年過ぎる可能性もある。その間に恋人がほかの女性と婚約しないと言い切れるのか?』