「まぁあたしを今痛めつけてもええけど、目の前でする方が泉は嫌がる思うで?」


…自分でなんて言う提案してるんだと思ったけど、女の表情は少し焦りの表情

とりあえずこの場でも凌ぎたいのだろう

俺もできたら今この場では…この子に手を出さないで欲しい。


「…それもそうだな?お前頭いいな」


金城さんはそう笑った

女は俺に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でつぶやいた
「アホでよかった」と

ひやひやさせる。聞こえたらどうすんだよ


本当にいつもと様子の違う金城さんは、完璧に薬がキマっていた

フラッと近くの椅子に腰をかける

女はその様子をみて少し安堵のため息


俺も体の緊張が少し解ける


少しこれで落ち着くのか?でもこの後どうする?なんて考えてた

俺はきっと、この女のことを見くびっていた


いや、すごいとは思った

根性もあって度胸もあって…喧嘩も強い


でも、それ以上にこの女は、あらゆる修羅場をくぐってきたんだろうと痛感させられた



金城さんが欠伸をしたその瞬間、女は突然窓際の壁に突進した