月夜に笑った悪魔



キャミソールをめくられると見えた傷。
銃弾を受けた体はお医者さんに塞いでもらって、今は傷の上からテープが貼られている。



「……痛い?」


その傷に視線を落とすと、そっと聞いてくる彼。



暁は、傷のことを気にしていたんだ。
私が庇ったから自分のせいで……とか思いつめてるのだろうか。


ぜんぜんそんなことないのに。
私が暁に傷ついてほしくなくて庇っただけ。


暁だって……いつも私のことを体を張って守ってくれていたから、その恩返しをしただけだ。


っていうか、暁のほうが何十倍も何百倍も傷ついてきただろうに。





「今は……少し痛いだけだよ」


彼の質問に正直に答えれば、彼は。


「悪か──」
「暁、いつもありがとう」


謝ろうとしたから、その声を遮った。